開発ストーリー

当店の原点でもあり、2枚看板でもある
「ラクホロ」と「ラクホロウイング」が誕生するまでの話をまとめています。

自社商品の開発

弊社は創業より約50年。パイプ加工・溶接を得意として来ました。
現在では主にワンタッチ幌というウイング式のトラック幌の骨格を製造させて頂いております。
これまでに多くのトラックの幌枠製造に携わらせていただいて来ましたが、 このまま下請けの仕事だけを続けていたのでは将来はどうなるか分からない・・・。

これからは自分たちで製品を作り、お客様に価値を提案していくべきではないか。
そんな思いから自社商品を開発することを決断しました。


自分たちに出来ること

さて、自社商品を作るとは決めたものの、何を作ったらいいのか・・・。
世間も知らない、特別大した技術も無い。
そんな状況で思い浮かぶのはやはり私たちが長年携わって来たトラックの幌。
トラック幌に関しては多くの実績や経験が活かせるのではないかという考えがありました。


軽トラックの幌を!しかし問題も・・・

トラックの幌と言っても大きなトラックを入れて開発する場所などありません。
しかし、軽トラックの幌であれば、限られた場所でも作ることが可能です。
「軽トラックの幌でなら自社商品として出せるかも知れない。」
そうは思いましたが、懸念される問題もありました。
軽トラックの幌は、メーカーの純正品だと一般的なタイプのもので 6~7万円ほどの価格帯で販売されています。
圧倒的な販売力で大量に生産できるメーカーですらその価格です。
私たちのような小さな企業の販売力では、価格的に勝負できるものではありません。
また、現在インターネット等で売られている安価な幌の大半もやはり、量産されている上に、 骨格の強度やシートの耐久性が著しく劣るものがほとんどなのです。

そんな状況で軽トラックの幌を作っても採算ベースに載せるのが難しく、 お客様にとっても決して安い金額ではありませんから、 値段の高い幌は簡単に手が出るものではありません。
大型車に比べると売上も少なく、利益も出にくい。そんな理由から 「軽トラックはやめた方がいいんじゃない?」そんな風に言われた事もありました。

価格的な懸念はあったものの、特徴のある幌を作れば必ず認めて下さる方はいる。
そんな強い思いもあり「やっぱり自分たちにはこれしかない!」と決意を新たにして 軽トラック幌の開発をスタートさせて行ったのでした。


ウイングの幌を作りたい・・・(ラクホロウイングの開発)

そんな訳で、次にどのような幌を作るのか検討を重ねたのですが、 やはり高いものは売れないという意識がありました。
軽トラックは車両本体がそれほど高くないのに 幌の価格が10万円を超えてしまうものはなかなか買ってくれる人がいない・・・。

そんな理由から比較的安価に出来そうな形状で幌を試作しました。
しかし、出来上がってみるとこれと言って特にいい部分もなく、正直自分でも欲しい と思えるものではありませんでした。

「やっぱりウイングを作りたい・・・」

ウイングであれば、これまで作ってきたノウハウもあるしメーカーの純正品よりも いいものが必ず出来る。その自信だけはありました。
いいものを作れば必ず評価してくれる人はいる・・・。
そう信じてウイング開発へと舵を切って行きました。


開発のコンセプトは強度とセルフキット

設計の際にコンセプトとしたのはまず第一に強度です。
メーカー純正品の利点は軽量であることでしたが、その分骨格の強度には不安もありました。
お客様に長年使って頂けるように、という思いで丈夫な骨格で設計をしました。
もう一点は、お客様がご自分で組み立てられること。
幌を固定するのにドリルでボディに穴あけをする必要がない様、既存のボルト穴を流用できるように工夫し、なるべく簡単に組み立てられるように設計を行いました。


行き着いたのは角型形状

幌の仕様はどんなものにするか・・・。
フレームの形状に関しては、一般的には肩の部分が丸みを帯びている幌がほとんどだと思いますが、 これまでの経験も踏まえ考えた結果、角型の形状を採用する事にしました。

角型の幌の特徴というのは一般的な肩が丸い形状のものと比べると製作のコストは上がってしまう傾向にありますが、組立てがし易く、シートを張った時のシワが少なく外観の仕上がりも美しくなるというメリットがあります。

実際にラクホロウイングの外観を見て「カッコイイ」と思って頂けた方も多いのではないでしょうか。


こだわりのポイント。スソ固定式とワンタッチロック機構!

角型形状の骨格の他にラクホロウイングの一番の特徴と言えるのがウイング側面のスソ部分にあります。通常ですとシートが垂れ下がっていてゴムを掛けて固定するのですがラクホロウイングはスソ部分にパイプを通しシートを折り返す事でシートのバタつきを抑えられるため、側面のゴムを掛ける必要が無くなります。
大型のウイング幌車では大部分がこの形状になっているのですが、弊社はこれを初めて軽トラックにも採用しました。

シートのスソを固定するメリットはゴム掛けの手間を省く機能性の面だけではなく、シートのシワが少なく美しい外観に仕上がるというデザイン面でのメリットも生まれてきます。
こうした点は、これまで幌の製造に携わって来たノウハウが反映された部分だと言えます。
そして、スソ固定式の他にこだわった、もう一点のポイントは幌のロック機構です。
少しでも開閉の手間が省けるように。ロックは簡単に出来るものがいい・・・。
幌を開けるときはレバーを引くだけでロック解除。
幌を閉める際にはロック部分を押さえ込むだけでロックをかける・・・。

しかし、開発は簡単ではありませんでした。


試行錯誤、少しでも使いやすいものにしたい!

限られたスペースの中に部品を収め、幌としての機能も確保する為に様々な形状や取付方を検討し、何度も試作を繰り返しました。現在の形では無理なのでは・・・。

そう思う場面が何度もありましたがついにロック機構も無事完成。
こうした細かい部分にこだわることで、ラクホロウイングはたった10秒で幌の開閉が出来るようになりました!その他にも、雨が室内に入り込まない工夫や走行テストなど、一つづつ課題をクリアし、開発開始から1年9か月・・・

やっと皆様に自信を持って提供できる商品が出来上がりました。ラクホロウイングの完成です。
しかしながら、まだまだ改善できる部分もあると思います。
今後もそういった取り組みは継続して行っていきたいと思います。


もっと多くの方に使って頂けるものを・・・(ラクホロの開発)

自社商品の開発という目標を掲げ、軽トラック用のウイング幌の試作を繰り返しておりましたが、一番問題になってきたのが対象ユーザーの少なさでした。

軽トラックを持っている農家の方などに声をかけ、ラクホロウイングについてのご意見をもらったのですが多くの方にとってはここまでしっかりしたのものは必要ないという感想が多く聞かれたのと同時に、幌は欲しいことは欲しいけれども、時には取り外しできないと困る、という方が何人もいらっしゃいました。
世の中のニーズとしてはもっと手軽に、もっと扱いやすいものをという意見が多いのをひしひしと感じていました。


簡単に折りたたむことが出来るイメージ・・・

そんな中で、感じていたのは平シートをかけたり外したりするときの煩わしさでした。
雨が降るとシートを出して、荷台にかけるのって結構面倒なんです。
私も仕事でトラックを使っていますが、畳んであるシートを広げて、前後左右の向きを合わせて、 順番にゴムを掛けていく・・・。
出すのもしまうのも面倒だな~と感じていました。

そこで、簡単に畳んだり広げたり出来るシートが作れないかなぁ。
というイメージで色々と考えを巡らせていました。


シートがズレずに開閉出来る。

そんな中で思い付いたのが現在のラクホロの形でした。
ズレているシートの向きを治すのが面倒ならばシートに紐を付けて荷台に乗せた骨組みに結んでしまえばズレることが無くなる。
そうすれば、シートの開け閉めの際はシートがズレないので、位置を直したりせずただゴムを掛けたり、外したりすればいい。
そんな発想で試作品を製作してみることになったのです。

試作品はシンプルな構造であった事も幸いし早い段階から完成度の高いものが出来ました。
それを更に改良し現在の形にまでに、それ程時間は必要としませんでした。
シンプルで機能的なデザインは今後も大きく変わることは無いでしょう。


シートと固定式幌の中間

こうして出来上がった幌は当初描いていたイメージとは少し違いましたがこれまでに見たことのない新しいタイプの商品になりました。
シートの機能としては荷台にかけるだけの平シートのイメージですが形は固定式の幌・・・。
簡易的な骨格の形状と重量の軽さも手伝って取り外しが容易に出来るものになったのです。
ある程度の荷室容量を確保しながらも、必要に応じて取り外しも可能である。
ちょうどこれまであった平シートと固定式幌の中間に当たる商品が出来上がったのです。


命名「ラクホロ」。自社商品の誕生。

出来あがった幌には「ラクホロ」と命名されました。
イメージし易く、親しみやすいというだけではなく、使って頂く方々に少しでも簡単に、楽に作業をしてもらいたいという思いが込められています。
デザイン制作会社にロゴも作成してもらい、現在のラクホロのイメージが出来上がりました。
これまでに無い形状の骨格とシートの使い方で新たな価値を提案するラクホロ。
実用新案登録に加え意匠登録の出願も受理され、まさに当社だけのオリジナル商品となりました。
少しでも多くの方にラクホロの事を知って頂くため、今後も活動を続けていきたいと思います。

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